日本の風営ビジネスを元気にする専門メディア FUEI JOURNAL

【完全網羅】風営法第26条による営業停止の期間と違反内容一覧|処分基準と回避策を行政書士が解説

「風営法の立ち入り検査で違反を指摘されたら、即座に営業停止になるのだろうか?」
「営業停止の期間はどのように決まり、最長で何ヶ月店を閉めなければならないのか?」
風俗営業(キャバクラ、ホストクラブ、ナイトクラブ、麻雀店など)を営む経営者や店舗責任者にとって、風営法に基づく「営業停止処分」は、売上の喪失だけでなく、従業員の離職や店舗の社会的信用の失墜を招く致命的なリスクです。
本記事では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第26条が定める「営業停止処分」について、期間が決まる具体的な基準、処分対象となる違反内容の全一覧、そして処分を未然に防ぐための実務的な対策を、風営法専門の行政書士が徹底解説します。

風営法第26条(営業の停止等)とは?

風営法第26条は、風俗営業者が法律に違反した場合に、公安委員会(警察)が下すことができる「営業停止処分」について定めた条文です。

(営業の停止等)
第二十六条
公安委員会は、風俗営業者若しくはその代理人等が当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき、又は風俗営業者がこの法律に基づく処分若しくは第三条第二項の規定に基づき付された条件に違反したときは、当該風俗営業者に対し、当該風俗営業の許可を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

法律用語を噛み砕いた「3つの要点」

  1. 誰が処分を下すのか?
    各都道府県の公安委員会(実務上は管轄の警察署・生活安全課の調査に基づく)が決定します。
  2. どんな時に処分されるのか?
    風営法や関連法令(労基法、売春防止法など)に違反したとき、または客席の構造や騒音が基準を満たさなくなったときです。
  3. どういう処分が下るのか?
    違反の是正を求める「指示」、または「最長6ヶ月以下」の営業停止が命じられます。

風営法26条で定められた「営業停止期間」の基準

営業停止処分が下される場合、経営者が最も気になるのが「何日間(何ヶ月間)店を閉めなければならないのか」という期間の長さです。

期間を決める「量定基準」の仕組み

営業停止の期間は、担当警察官の気分で決まるわけではありません。違反の種類ごとにベースとなる日数を定めた「量定基準(行政処分の基準)」を公開しています。
この基準日数をベースに、以下の要素が加味されて最終的な期間が決定します。

  • 加重事由: 過去に同一の指示や処分を受けている(累犯)、著しく悪質である、従業者の大半が法令違反に加担している等。
  • 軽減事由: 違反を自主的に改善を行っている、過去に違反がなく、自らの過ちや悪事を深く反省し、心から悔い改めて、行いを正そうとする気持ちや態度 がある等。

【全網羅】営業停止処分となりうる主な違反内容一覧

ここでは、実際に営業停止処分の対象となる風営法違反の代表的なケースを網羅して解説します。

1. 営業時間の変更・深夜営業の禁止違反

風俗営業は原則として午前0時(一部の条例指定地域では午前1時)から午前6時までの深夜帯は営業できません。

違反例
閉店時間を過ぎても客を帰さず、酒類の提供や接待を続けていた場合。
【行政書士監修】風営法第13条の営業時間は何時まで?深夜延長のルールと罰則を徹底解説

2. 18歳未満の年少者の立ち入り・雇用違反

最も処分が重く、一発で長期の営業停止や許可取消になりやすい「絶対的禁止事項」です。

違反例
18歳未満の少女を年齢確認せずにキャバクラのキャストとして雇用した。18歳未満の客を店内に立ち入らせた。
風営法第18条に基づく「18歳未満立入禁止」表示の完全ガイド|様式・場所・罰則を解説

3. 構造・設備の維持義務違反

許可取得時と同じ構造や設備を維持する義務です。

違反例
警察に無断で店内のレイアウトを変更した。客席の見通しを妨げる高さ1メートル以上の仕切り(パーテーションや観葉植物)を設置した。照明を基準(10ルクスまたは5ルクス)よりも暗くした。
【風営法第9条】店舗改装時の「変更承認申請」と「変更届」の違いを徹底解説

4. 従業者名簿の備付け・記載義務違反

立ち入り検査で最も頻繁に指摘され、営業停止のトリガーになりやすい項目です。

違反例
名簿が店舗に置いていない。記載漏れ(本籍地、生年月日、採用年月日など)がある。退職者の名簿を法定期間(退職後3年)保管していない。

5. 料金表示義務・不当な客引きの禁止違反

違反例
客の見やすい場所に料金表を掲示していない。条例で禁止されているエリアで、通行人の進路を塞ぐような悪質な客引き(キャッチ)やスカウト行為を行った。
【実務解説】風営法第17条「料金の表示」義務とは?正しいメニュー表の書き方と違反時の罰則 【行政書士監修】風営法第22条(客引きの禁止)とは?違法になる基準と重い罰則を徹底解説

6. 警察官の立ち入り拒否・妨害

違反例
警察の立ち入り検査(いわゆるガサ入れ)に対して、入り口の鍵を閉めて居留守を使う、従業員を裏口から逃がす、暴言を吐いて検査を妨害する行為。

7. 他の法律の規定への違反

風営法単体の違反だけでなく、店舗運営に関わる他法令違反も営業停止の対象となります。

対象となる主な法律
売春防止法、児童買春・児童ポルノ禁止法、労働基準法、入管法(不法就労助長)など。

営業停止処分が下されるまでの具体的な流れ(フロー)

立ち入り検査から実際に店が営業停止になるまでは、法的な手続き(行政手続法に基づく)を踏むため、一定の期間が空きます。

手順1
警察による立ち入り検査・違反の認知
定期的な立ち入りや、近隣・客からの通報をきっかけに、警察が店舗に立ち入り、違反事実の確認と証拠保全を行います。

手順2
聴聞(ちょうもん)または弁明の機会の付与
処分が決定する前に、行政手続法に基づき、経営者側が公安委員会に対して言い分(反論や情状酌量の余地)を主張し、証拠を提出する機会が与えられます。

手順3
公安委員会による処分決定と通知書の交付
聴聞等の結果を踏まえ、処分内容が確定します。店舗に「行政処分決定通知書」が交付され、営業停止の開始日と期間が言い渡されます。

手順4
営業停止処分の執行
通知書に記載された開始期日から、一切の営業活動ができなくなります。

「指示処分」と「営業停止」「許可取消」の違い

風営法における行政処分は、違反の悪質性によって大きく3段階に分かれています。

処分区分 処分の重さ 具体的な状況・ペナルティの内容
指示処分 軽度(イエローカード) 従業者名簿の記載漏れなど比較的軽微な違反で、初犯の場合。期限を定めて改善を命じられる。この段階で改善すれば営業は継続可能。
営業停止処分 中度〜重度(レッドカード) 指示に従わない場合や、深夜営業、構造設備違反など。最長6ヶ月間、店を開けることができない。
許可取消処分 致命的(退場) 年少者雇用などの極めて悪質な違反、または営業停止期間中に隠れて営業した場合。風俗営業許可そのものが剥奪され、向こう5年間は再取得できない。

実務者が教える!営業停止リスクを最小限に抑えるための3つの防衛策

営業停止処分を防ぐためには、日頃からのコンプライアンス体制の構築が不可欠です。

1. 年齢確認(本人確認書類の提示)の徹底とマニュアル化

「見た目が大人びていたから」は警察には一切通用しません。キャストだけでなく、黒服などの裏方スタッフ、さらには来店客に対しても、必ず顔写真付きの公的身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)で生年月日を確認し、コピーを保管するルールを徹底しましょう。

2. 従業者名簿のリアルタイム更新と管理

従業者名簿は、採用時だけでなく「退職時」の記載も重要です。入店時に本籍地記載の住民票を必ず提出させ、指定のフォーマットに沿って正確に記入し、店舗のすぐ取り出せる場所に常備してください。

3. 定期的な店舗構造・設備のセルフチェック

現場のスタッフが良かれと思ってやった装飾(観葉植物の設置、照明の変更、VIPルームの勝手な改装)が、風営法第9条違反に直結します。高さ1m以上の仕切りがないか、照度は基準を満たしているか、経営者自身が定期的にメジャーや照度計を用いてチェックする体制が必要です。

万が一、風営法違反を指摘されてしまった場合の対処法

警察の指導には誠実かつ迅速に対応する

立ち入り検査で違反を指摘された際、最もやってはいけないのが「言い逃れ」や「放置」です。是正可能な構造違反や名簿の不備であれば、即座に改善し、その証拠(写真など)を警察に提出することで、処分が「指示」に留まる、あるいは営業停止期間が短縮される可能性があります。

行政手続き(聴聞・弁明)に向けて専門の行政書士に相談する

違反が重大で営業停止が避けられない見込みの場合、「聴聞」や「弁明の機会」での立ち回りが命運を分けます。ここで適切な「弁明書」や改善計画書を提出し、反省と再発防止の意思を法的な根拠を持って示すことで、6ヶ月の予定だった処分が3ヶ月に、3ヶ月の予定だった処分が1ヶ月に短縮されるケースも存在します。
警察からの呼び出しを受けた段階で、速やかに風営法の実務に精通した行政書士にご相談されることを強く推奨します。

まとめ:風営法第26条を正しく理解し、健全な店舗運営を

風営法第26条による営業停止処分は、たった一度の気の緩みが原因で、これまで築き上げてきた店舗の売上や信用をすべて奪い去る恐ろしいものです。
「他の店もやっているから大丈夫」「少しの違反ならバレないだろう」という甘い認識は捨て、本記事で解説した違反リストと照らし合わせながら、自店のコンプライアンスを今一度見直してみてください。
健全な店舗運営と、法令遵守の仕組みづくりに不安がある経営者様は、ぜひ一度、風俗営業許可の専門家である当事務所までお問い合わせください。

よくある質問(FAQ)

Q. 営業停止期間中に、店の中で片付けや仕込み、清掃などを行うことは可能ですか?

A. 可能です。営業停止処分はあくまで「客にサービスを提供して対価を得る営業行為」を禁止するものです。スタッフが店舗に入り、清掃、事務作業、改装工事(※軽微なもの。構造変更を伴う場合は要承認)などを行うこと自体は違反になりません。

Q. 営業停止処分を受けた後、営業を再開する際に警察の再検査はありますか?

A. 構造設備の違反で処分を受けた場合は、再開前に警察の確認が入るのが一般的です。その他の違反(名簿不備など)であっても、営業再開直後に「本当に改善されているか」を確認するための抜き打ち立ち入り検査が行われる確率は極めて高いため、万全の状態で再開日を迎える必要があります。