「キャバクラやバー、マージャン店をオープンしたいけれど、過去の経歴が原因で許可が下りないのではないか…」
そんな不安を抱えていませんか?
風俗営業を始めるには警察署への許可申請が必要ですが、その際に必ず立ちはだかるのが「風営法第4条」で定められた「欠格事由(けっかくじゆう)」です。結論から言うと、この条件に一つでも当てはまる場合、風俗営業の許可は絶対に下りません。
しかし、法律の条文は難しく、「自分が当てはまるのかどうか」を判断するのは容易ではありません。この記事では、風俗営業の許可が取れない具体的な条件について、法律の専門用語をできるだけ使わず、わかりやすく解説します。「いつになれば許可が取れるのか」という疑問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
風営法第4条(欠格事由)とは?
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第4条は、ひとことで言えば「風俗営業の許可を与えてはいけない人のリスト」です。
なぜこのような厳しいルールがあるのでしょうか。それは、風俗営業という業種が、善良な風俗環境や未成年者の健全な育成に影響を与えやすいからです。そのため、「法律を守れないおそれがある人」や「反社会的勢力と関わりがある人」が経営に携わることを未然に防ぐ目的で、明確な基準が設けられています。
(出典:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」)
【一覧】風営法第4条で「許可が取れない」9つの具体的な条件
それでは、具体的にどのような人が許可を取れないのか、9つの条件をわかりやすく解説します。
1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
自己破産の手続き中の方や、まだ「免責(借金の支払い義務が免除されること)」が確定していない方は許可を取得できません。
ただし、一生許可が取れないわけではありません。免責許可決定が確定し、法的に権利が回復する「復権(ふっけん)」を果たせば、許可の取得は可能になります。
2. 1年以上の懲役・禁錮の刑に処せられた者
過去に犯罪の種類を問わず、「1年以上の懲役」または「1年以上の禁錮」の実刑判決を受けたことがある場合です。
この場合、刑の執行が終わってから(刑務所を出てから)、または執行を受けることがなくなってから「5年」を経過するまでは許可が下りません。逆に言えば、5年経過すれば要件をクリアできます。
3. 特定の犯罪で「1年未満の懲役・罰金刑」を受けた者
刑期が1年未満の懲役や、罰金刑であっても、特定の法律違反の場合は欠格事由に該当します。具体的には以下の違反が挙げられます。
- 風営法違反(無許可営業など)
- 売春防止法違反
- 労働基準法違反や職業安定法違反の一部(不法就労など)
- 入管法違反(不法滞在者の雇用など)
4. 集団的・常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者
暴力団の構成員や、いわゆる「半グレ」など、反社会的勢力とみなされる人物は許可を取得できません。
5. アルコール、麻薬、大麻、覚せい剤の中毒者
医師の診断などにより、アルコールや違法薬物の中毒者であると認定されている場合は、適切な店舗運営ができないと判断され、許可が下りません。
6. 心身の故障により業務を適正に行うことができない者
精神の障害などにより、経営者としての判断能力が欠如しているとみなされる場合です。医師の診断書等をもとに「個別に審査」される形に変更されています。
7. 過去に風俗営業の許可を取り消された者(5年以内)
過去に風俗営業を営んでいて、悪質な法令違反などにより「許可の取り消し処分」を受けた場合、取り消しの日から「5年間」は再び許可を取得することができません。
8. 未成年者(18歳未満)
18歳未満の方は、原則として風俗営業の許可を取得できません。例外として、風俗営業者の相続人であり、法定代理人(親など)がいる場合は認められるケースがありますが、ごく稀なケースです。
9. 法人の場合:役員の中に上記1〜8に該当する者がいる
株式会社や合同会社などの「法人」として許可申請をする場合、非常に重要なポイントがあります。それは、代表取締役だけでなく、平取締役や監査役など「役員全員」が審査の対象になるということです。
役員の中に一人でも上記1〜8の条件に当てはまる人がいると、法人としての許可は下りません。
自分の前科や経歴が欠格事由に当たるか調べる方法
「昔の罰金刑が特定の犯罪に当たるか自信がない」「自己破産の手続きがどうなっているか曖昧」といった場合、ご自身で公的な証明書を取得することで確認が可能です。風俗営業の許可申請時にも必要になるため、事前に以下の2つを取得してみることをおすすめします。
身分証明書
本籍地の市区町村役場で取得できます。(※運転免許証のことではありません)。破産宣告の通知を受けていないことなどが記載されています。
登記されていないことの証明書
法務局で取得できます。成年被後見人等として登記されていないことを証明するものです。
前科などについて不安がある場合は、警察署の生活安全課の窓口で、正直に事情を話して事前相談を行うのも一つの手です。
風営法第4条に関する「よくある質問(FAQ)」
Q. 執行猶予中の場合は許可を取れますか?
A. 執行猶予期間中は許可を取れませんが、期間が満了すればすぐに取得可能です。
執行猶予中の期間は「刑の執行を受けている最中」とみなされるためNGです。しかし、執行猶予期間が無事に満了すれば「刑の言渡し自体が効力を失う」ため、その翌日から許可取得の要件を満たすことになります。(実刑のように5年間待つ必要はありません)。
Q. 交通違反の罰金でも許可は下りませんか?
A. 基本的には影響しません。
スピード違反や駐車違反などの反則金や罰金は、風営法で指定された「特定の犯罪」ではないため、欠格事由には当たりません。ただし、危険運転致死傷罪などで「禁錮刑以上の実刑」を受けた場合は、前述の「条件2」に該当してしまうため注意が必要です。
Q. 共同経営者の1人が欠格事由に当てはまる場合はどうなりますか?
A. 法人の役員であれば許可は下りません。個人事業でも注意が必要です。
法人申請で共同経営者が役員に名を連ねている場合は、欠格事由に該当しNGとなります。個人事業主としてあなた一人の名前で申請する場合でも、その共同経営者が「実質的な経営者(お金を出している、指示を出している等)」と警察にみなされた場合、審査の対象となり許可が下りない、あるいは後から取り消されるリスクがあります。
まとめ:風営法第4条に不安がある場合は専門家へ相談を
風俗営業の許可基準である「風営法第4条(欠格事由)」について解説しました。
過去の経歴に不安がある場合、「バレないだろう」と隠して申請するのは絶対にやめましょう。 警察の調査で必ず発覚します。虚偽の申告をした場合、許可が下りないだけでなく、悪質な場合は「虚偽申告」として罰則を受けたり、今後さらに許可が取りにくくなったりする致命的なペナルティに繋がります。
ご自身の状況が欠格事由に当てはまるかどうかの判断は、素人には難しいケースも多々あります。確実かつスムーズに許可を取得してお店をオープンさせるために、まずは風俗営業許可に強い行政書士へ事前相談をすることをおすすめします。専門家であれば、あなたの状況を正確に判断し、最短で許可を取得するための的確なアドバイスが可能です。

