【実務解説】風営法第17条「料金の表示」義務とは?正しいメニュー表の書き方と違反時の罰則

「お店の料金表、今のままで法律的に問題ないかな?」
「風営法第17条って、具体的にメニューに何をどう書けばいいの?」

キャバクラやホストクラブなどを開業・運営するにあたり、料金システムの設定は非常に重要です。しかし、せっかく決めた料金も、表示方法を間違えると「風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第17条」に違反してしまう可能性があります。

この記事では、風俗営業の店舗経営者様に向けて、風営法第17条が定める「料金の表示義務」の正しいルールや、具体的なメニュー表の作り方、違反した際のリスクについて分かりやすく解説します。

正しい知識を身につけ、警察の立ち入り検査(ガサ入れ)やお客様とのトラブルに怯えることのない、安心できる店舗運営を目指しましょう。

1. 風営法第17条「料金の表示」義務とは?

風営法第17条では、風俗営業者に対する「料金の表示義務」が定められています。まずは法律の基本的な内容とその目的を理解しておきましょう。

条文の分かりやすい解説

実際の条文(第17条)の趣旨を要約すると、以下のようになります。

料金の表示
「風俗営業者は、お客様から受け取る料金(客室の利用料や飲食代など)について、お店の入口や客室内など、お客様が見やすい場所に表示しなければならない」
(出典:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」
つまり、「お客様がお店に入ってからお会計をするまでに発生するすべての料金を、誰が見ても分かるようにメニュー表などで明記し、手元に置いておきなさい」というルールです。「うちは常連さんばかりだから、メニュー表を出さなくても平気だろう」という対応は法律違反となります。

なぜ料金表示が義務付けられているのか?

この法律の最大の目的は、不当な高額請求(いわゆる「ぼったくり」)を防ぎ、お客様が安心して遊興飲食できる環境を守ることです。

過去、客引きに「1時間3000円ポッキリです」と言われて入店したのに、会計時に法外なサービス料や氷代などを上乗せされ、数十万円を請求されるトラブルが多発しました。こうした被害を未然に防ぐため、「事前にいくらかかるのか」を客が明確に把握できる仕組みが義務化されています。

2. 風営法第17条の対象となる店舗(営業形態)

号数 分類 具体的な店舗例
第1号 社交飲食店 キャバクラ、ホストクラブ、接待を伴うスナック・ラウンジなど
第2号 低照度飲食店 暗いバー、カップル喫茶など
第3号 区画席飲食店 個室居酒屋、インターネットカフェ(一部)、カップル喫茶など
第4号 まあじゃん屋、ぱちんこ屋 パチンコ店、麻雀店、アレンジボール、射的場など
第5号 ゲームセンター等 ポーカーバー、ゲームセンター、アミューズメント施設など

深夜酒類提供飲食店営業(一般的なバーや居酒屋)は風営法第17条の直接の対象ではありませんが、消費者トラブルを防ぐ観点から、同様に明瞭な料金表示を行うことが強く推奨されます。

3. 【実務編】具体的に「何」を「どこに」表示すべきか?

それでは、具体的にどのようなメニュー表を作ればよいのでしょうか。実務で注意すべきポイントを解説します。

料金表(メニュー)に記載すべき必須項目

お客様に請求する可能性のある項目は、1円単位で漏れなく記載しなければなりません。以下の項目が網羅されているかチェックしてみましょう。

号数 分類 表示すべき項目
第1号 社交飲食店 1.遊興料金、飲食料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が接待を受けて遊興又は飲食をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金
2.サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金<
第2,3号 低照度飲食店
区画席飲食店
1.飲食料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が飲食をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金
2.サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金
第4号 まあじゃん屋、ぱちんこ屋 法第十九条に規定する遊技料金
第5号 ゲームセンター等 1.ゲーム料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が遊技をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金
2.サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金
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掲示・備え付けの場所ルール

料金表を作っただけでは義務を果たしたことになりません。法律では「客の見やすい場所に表示」することが求められています。

  • 客室(テーブル)への備え付け:各テーブルに1つずつメニュー表を置くのが基本です。お客様から「メニューを見せて」と言われたらすぐに出せる状態にしておきましょう。
  • 入口付近での掲示:都道府県の条例によっては、店舗の入口や店外の分かりやすい場所に料金表を掲示することが義務付けられている場合があります。

4. 風営法第17条に違反した場合の罰則・ペナルティ

料金表示を怠ったり、虚偽の記載をした場合、どのような罰則があるのでしょうか。

行政処分(指示処分・営業停止処分)

いきなり逮捕されるケースは稀ですが、警察の立ち入り検査などで料金表示の不備が見つかった場合、まずは公安委員会から「指示処分(改善の指導)」が行われます。

指示処分を受けたにもかかわらず改善しない場合や、悪質な隠蔽があった場合は、「営業停止処分」(長期間お店を開けられなくなる)という非常に重い行政処分が下る可能性があります。

ぼったくり防止条例との併用による摘発リスク

各都道府県が定める「ぼったくり防止条例」では、料金の不当な取り立てなどを厳しく規制しています。
風営法の料金表示義務違反(第17条)だけでなく、実際の請求額がメニュー表と違っていた場合、この条例違反として摘発され、経営者や従業員が逮捕されるリスクも十分にあります。

5. 料金の表示に関する「よくある質問(FAQ)」

店舗様からよく寄せられる、料金表示に関する疑問にお答えします。

Q. メニュー表の価格に「ASK(時価)」や「スタッフにお尋ねください」と書いても大丈夫ですか?

A. NGです。 風営法では明確に金額が分かるように記載する必要があるため、「ASK」や「時価」といった曖昧な表記は認められません。高価なシャンパンや季節のフルーツなどを扱う場合でも、その日の価格を別紙で挟み込むなどして、必ず具体的な金額を提示してください。

6. まとめ:正しい料金表示でクリーンな店舗運営を

風営法第17条における「料金の表示義務」は、単なるお店のルールではなく、お客様をぼったくり被害から守り、お店への信頼を担保するための重要な法律です。

  • すべての料金(TAXや指名料含む)を明確に記載する
  • 各テーブルに備え付けるなど、お客様が見やすい状態にする
  • 消費税を含めた「総額表示」を徹底する
これらを厳守し、「お客様が安心して楽しめる明朗会計の店舗」を作り上げることが、長期的な繁盛店への第一歩となります。

「自店のメニュー表が法律違反になっていないか不安」「警察の立ち入り検査の対策をしておきたい」という経営者様は、風営法に詳しい行政書士や弁護士などの専門家に一度相談・チェックを依頼することをおすすめします。