風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)を読んでいると、必ずと言っていいほど登場する以下の3つの言葉。
- 風俗営業を営む者
- 風俗営業者
- 特例風俗営業者
結論から言うと、この3つは「公安委員会の許可の有無」と「法令遵守の優良度」によって、法律上まったく異なるポジションにランク分けされています。
本記事では、行政手続きの専門知識をもとに、これら3つの決定的な違いを「比較表」と「図解」を用いてわかりやすく解説します。
1. 【結論】1分でわかる!3つの用語の比較早見表
まずは、3つの言葉の立ち位置が一目でわかる比較表をご覧ください。
| 用語 | 法的立ち位置 | 風営法の許可 | 具体的なイメージ |
| 風俗営業を営む者 | 最も広い概念 | あっても無くても対象 | 正規店 + 無許可の違法業者 |
| 風俗営業者 | スタンダード | 許可あり(必須) | 許可を取った一般的な営業店 |
| 特例風俗営業者 | エリート(最上位) | 許可あり + 「認定」 | 10年無違反の「超・優良店」 |
表を見ていただくと分かる通り、「許可を取っているか」「さらに優良な認定を受けているか」という階段を登るごとに、呼び名がグレードアップしていくイメージです。
2. 3つの関係性を「ベン図」でイメージしよう
この3者の包含関係(サイズの大小)を図にすると、以下のようになります。

- 一番外側の大きな枠が「風俗営業を営む者」
- その中にある適法な枠が「風俗営業者」
- さらにその中心にある小さな枠が「特例風俗営業者」
3. それぞれの詳しい定義と「根拠条文」
ここからは、法律の条文(根拠)を交えながら、それぞれの言葉が「なぜその名前で呼ばれるのか」を深掘りします。
①「風俗営業を営む者」とは?(一番広い言葉)
風俗営業を営む者とは、公安委員会から許可を受けているか否かを問わず、「事実として風俗営業を行っているすべての主体」を指します。
(風俗営業を営む者の禁止行為等)
第二十二条
第二十二条
風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせること。
四 営業所で午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。
五 十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること。)。
六 営業所で二十歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせること。
四 営業所で午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。
五 十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること。)。
六 営業所で二十歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。
法律は「許可を取っていようが、無許可のモグリだろうが、風俗ビジネスをやってる奴は全員このルールを守れ」という意味を込めて、あえて『風俗営業を営む者』という網の目の広い言葉を使っているのです。
②「風俗営業者」とは?(スタンダードな適法業者)
風俗営業者とは、公安委員会の許可を正式に受けて、適法に営業を行っている事業者のことです。
(用語の意義)
第二条第二項
第二条第二項
この法律において「風俗営業者」とは、次条第一項の許可又は第七条第一項、第七条の二第一項若しくは第七条の三第一項の承認を受けて風俗営業を営む者をいう。
③「特例風俗営業者」とは?(選ばれし優良業者)
特例風俗営業者とは、風俗営業者のうち、長年にわたり法令を遵守し、公安委員会から「特例の認定」を受けた一握りの優良業者のことです。
(特例風俗営業者の認定)
第十条の二
第十条の二
公安委員会は、次の各号のいずれにも該当する風俗営業者を、その申請により、第六条及び第九条第一項の規定の適用につき特例を設けるべき風俗営業者として認定することができる。
4. 「特例風俗営業者」になる3つの強烈なメリット
厳しい審査をクリアして「特例風俗営業者」の認定を受けると、実務において以下の強烈なメリットを得られます。
- 「構造・設備の変更」が事前承認から「事後届出」で済むようになる
通常、店内の壁の位置を変えたりVIPルームを改装したりする際は、工事前に警察の「変更承認」を得る必要があります。しかし特例業者になれば、工事が終わったあとに「変えました」と事後報告するだけで済むケースが大幅に増え、スピーディーな店舗展開が可能になります。 - 警察の「立入検査」の負担が激減する
風俗営業店には定期的に警察の立ち入り検査が入りますが、特例認定を受けると「この店は自浄作用がある」と見なされ、原則として定期検査の対象から外れます(※何らかの通報があった場合を除く)。 - 「圧倒的なクリーンさ」を対外的にアピールできる
「公安委員会お墨付きの優良店」というステータスは、銀行からの融資審査、テナントビルの入居審査、そしてキャストやスタッフの求人募集において、他の競合店に対して圧倒的なアドバンテージになります。
5. 実務で迷いやすい「よくあるQ&A」
最後に、店舗の担当者や行政書士の受任実務でよく迷うポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1. お店を仕切っている「雇われ店長」は、風俗営業者になりますか?
A. なりません。
法律上の「風俗営業者」とは、あくまで許可証の枠に名前が載っている名義人(個人事業主本人、または運営会社である法人)のことです。現場を仕切る店長は、風営法上は「管理者(営業所ごとに選任が義務付けられる責任者)」というまったく別のポジションになります。
【行政書士監修】風営法第24条「営業所の管理者」とは?選任条件や欠格事由・講習義務を徹底解説
6. まとめ|まずは「風俗営業者」としてクリーンな実績を積もう
本記事のまとめです。
- 風俗営業を営む者
= 違法なモグリ業者まで含めた「全プレイヤー」 - 風俗営業者
= 許可を取ってスタートラインに立った「正規プレイヤー」 - 特例風俗営業者
= 10年無違反を達成した「殿堂入りプレイヤー」

