風営法第24条「営業所の管理者」とは?選任条件や欠格事由・講習義務を徹底解説
風俗営業を営むにあたり、「誰を営業所の管理者に選任すべきか」や「管理者講習の義務について詳しく知りたい」と悩まれる経営者・実務担当者の方は少なくありません。
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第24条では、店舗ごとに1名の「営業所の管理者」を選任することが義務付けられています。この規定に違反したり、講習を受講しなかったりすると、営業停止などの厳しい処分を受けるリスクがあります。
本記事では、風営法第24条の基本概要から、管理者に選ばれるための条件(欠格事由)、そして2026年以降のコンプライアンス強化にも対応できる実務上のポイントまでを分かりやすく徹底解説します。
風営法第24条「営業所の管理者」の基本概要
条文のわかりやすい要約と制定の目的
風営法第24条は、ひとことで言えば「お店のルールと適正な運営を守るための責任者を、店舗ごとに必ず1名置きなさい」という規定です。
警察や公安委員会がすべての店舗の日常業務を直接監視することは不可能です。そのため、店舗側に「営業所の管理者」という責任者を設けさせ、その人物を通じて法律や条例の遵守、従業員の指導、未成年者の立ち入り防止などを徹底させることを目的としています。
他の役職(経営者・店長)との違い
実務においてよく混同されるのが、「経営者(オーナー)」「店長」「営業所の管理者」の違いです。
- 経営者(許可名義人): お店の所有者であり、風俗営業許可を持つ主体。
- 店長: 売上管理やシフト管理など、お店の営業上の責任者(社内における役職)。
- 営業所の管理者: 風営法に基づき、業務の適正化を行う法定の責任者。
管理者になれる人の条件と「欠格事由」
営業所の管理者は誰でもなれるわけではなく、第24条第2項において明確な「欠格事由(管理者になれない条件)」が定められています。
管理者に選任できない要件(第24条第2項)
以下のいずれかに該当する人物は、管理者として選任できません。
- 未成年者(18歳未満)
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 風営法違反や特定の犯罪(売春防止法違反、労働基準法違反の一部など)で罰金刑を受け、5年を経過しない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
- 心身の故障により管理者の業務を適正に行うことができない者
営業所の管理者が担う重要な役割と業務
管理者の名前を警察に届ければ終わりではありません。管理者は、店舗の健全な運営のために以下の重要な業務を担います。
従業者名簿の備え付けと確認義務
風俗営業において最も重い違反の一つが「18歳未満の雇用」や「18歳未満の客の入店」です。管理者は、従業員の採用時に本籍地記載の住民票などで年齢と身分を厳格に確認し、「従業者名簿」を正確に作成・保管・更新する責任を持ちます。
警察や公安委員会との窓口業務
警察の立ち入り検査(査察)があった際、現場の責任者として対応するのは営業所の管理者です。日頃から風営法の規制(営業時間、照度基準、騒音規制など)を正しく理解し、従業員へ指導・教育を行うことが求められます。
必須!「管理者講習」の受講義務について
風営法第24条の規定に基づく実務で、特に注意が必要なのが「管理者講習」です。
管理者講習とは?受講のタイミングと頻度
公安委員会は、管理者に対して業務の適正化に関する講習を実施します。管理者に選任された者は、この「管理者講習」を受講する義務があります。
- 新規講習: 管理者に選任されてから、おおむね6ヶ月以内。
- 定期講習: その後、おおむね3年ごと(都道府県の公安委員会による通知に従う)。
未受講の場合の罰則・リスク
公安委員会からの受講通知を無視し、正当な理由なく講習を受けなかった場合、公安委員会から受講の「指示」が出されます。この指示にも従わない場合、営業停止命令などの行政処分の対象となる恐れがあるため、通知が届いたら必ずスケジュールを調整して受講しましょう。
【実務向け】管理者を変更する際の手続きと注意点
スタッフの退職や異動により、営業所の管理者を変更する場合は速やかな行政手続きが必要です。
管理者変更届の提出期限と必要書類
管理者を変更した場合は、変更の日から10日以内に、管轄の警察署(生活安全課)へ「変更届出書」を提出しなければなりません。
【主な必要書類の例】
- 変更届出書
- 新管理者の住民票(本籍地記載、マイナンバーなしのもの)
- 新管理者の身分証明書(本籍地の市区町村長が発行するもの)
- 誓約書(欠格事由に該当しない旨の宣誓)
- 写真(縦3cm×横2.4cm)
退職時などで管理者が一時的に不在になる場合の対処法
管理者が突然退職してしまった場合、「次の管理者が決まるまで放置する」のは法律違反状態(管理者不在)となります。管理者が欠けた日から14日間は管理者を選任しておかなくてもよいという猶予期間はありますが、万が一の事態に備え、事前に副店長などを管理者要件を満たす人物として育成しておくか、速やかに行政書士などの専門家に相談し、適法な状態への復帰手続きを進めることが重要です。
まとめ:適切な管理者選任でクリーンな店舗運営を
風営法第24条で定められる「営業所の管理者」は、単なる名義上の役職ではなく、店舗のコンプライアンスを最前線で守るキーパーソンです。
- 店舗ごとに1名、欠格事由に該当しない者を選任する
- 従業者名簿の管理や従業員教育など、適正化の業務を行う
- 公安委員会が行う「管理者講習」を必ず定期受講する
- 管理者が変更になった場合は、10日以内に変更届を提出する

