「お店の内装を少し変えたいけど、警察に届け出は必要なの?」
「もし未成年を雇ってしまったら、風営法違反でどうなる?」
キャバクラやホストクラブ、バー、性風俗店などの風俗営業を営む中で、上記のような疑問や不安を抱えている経営者の方は少なくありません。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称:風営法)には様々なルールがありますが、中でも注意すべきなのが「風営法第51条」です。
この記事では、風営法第51条の条文の内容から、違反となる具体的な行為、発覚した際の重い罰則(刑事罰・行政処分)、そして警察の指導が入ってしまった場合の正しい対処法までを、行政書士がわかりやすく徹底解説します。
風営法第51条の条文と罰則の重さ
風営法第50条は、風俗営業等における特定の違反行為に対する罰則を定めた規定です。まずは、どのような罰則が科されるのかを確認しておきましょう。
一 第九条第一項(第二十条第十項及び第三十一条の二十三において準用する場合を含む。以下この号及び次号において同じ。)の規定に違反して第九条第一項の承認を受けないで営業所の構造又は設備(第四条第四項に規定する遊技機を含む。)の変更をしたとき。
二 偽りその他不正の手段により第九条第一項の承認を受けたとき。
三 偽りその他不正の手段により第十条の二第一項(第三十一条の二十三において準用する場合を含む。)の認定を受けたとき。
四 第二十二条第一項第三号の規定又は同項第四号から第六号まで(これらの規定を第三十一条の二十三及び第三十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
五 第二十八条第十二項第三号の規定又は同項第四号若しくは第五号(これらの規定を第三十一条の三第二項の規定により適用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
六 第三十一条の三第三項第一号の規定に違反したとき。
七 第三十一条の十又は第三十一条の十一第二項第二号の規定による公安委員会の命令に従わなかつたとき。
八 第三十一条の十三第二項第三号から第六号までの規定に違反したとき。
九 第三十一条の十八第二項第一号の規定に違反したとき。
十 第三十三条第四項の規定に基づく都道府県の条例の規定に違反したとき。
2 第二十二条第一項第三号若しくは第四号(第三十一条の二十三及び第三十二条第三項において準用する場合を含む。)、第二十八条第十二項第三号、第三十一条の三第三項第一号、第三十一条の十三第二項第三号若しくは第四号又は第三十一条の十八第二項第一号に掲げる行為をした者は、当該十八歳未満の者の年齢を知らないことを理由として、前項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
罰則の内容:1年以下の拘禁刑(懲役)または100万円以下の罰金
風営法第51条に違反した場合、「1年以下の拘禁刑(旧:懲役)もしくは100万円以下の罰金」に処せられます。
悪質なケースでは、「拘禁刑と罰金の両方」が科される併科(へいか)となることもあり、決して軽い罰則ではありません。経営者自身だけでなく、実質的に店舗を管理している店長などが責任を問われるケースも多々あります。
無許可営業(第49条)など他の罰則との比較
風営法の罰則は、違反の重大さによって段階的に分かれています。
例えば、最も重い違反の一つである「無許可営業(風営法第49条)」の場合は、「5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金」です。第51条はそれに次ぐ重い罰則であり、「許可は取っているが、営業の根幹に関わる重大なルール違反をした場合」に適用されるものだと認識しておきましょう。
風営法第51条違反になる「具体的な4つの行為」
では、具体的にどのような行為が第50条違反に該当するのでしょうか。代表的な5つの違反行為を解説します。
1. 無承認の構造設備変更(レイアウトの無断変更など)
非常に多いのが、警察(公安委員会)の承認を得ずに、お店の構造や設備を変更してしまうケースです。
- VIPルームなどの個室を新設した
- 高さ1メートルを超えるパーテーション(つい立て)を設置した
- 客室の床面積を増減させた
2. 18歳未満の者への接待行為の強制・従事
キャバクラやホストクラブなどの風俗営業において、18歳未満(高校生など)の従業員に客の接待をさせる行為は厳しく禁じられています。
年齢をごまかして応募してくるケースもありますが、「知らなかった」では済まされないため、面接時の厳格な年齢確認(顔写真付きの身分証明書の確認など)が必須です。
3. 18歳未満の者の深夜業務(午後10時〜翌午前6時)
接客の有無に関わらず、18歳未満の者を午後10時から翌午前6時までの深夜帯に店舗内で働かせる行為も第50条違反となります。洗い場や裏方の業務であっても深夜労働は認められません。
4. 20歳未満への酒類・たばこの提供
客として来店した20歳未満の者に対し、酒類やたばこを提供することも違反行為です。居酒屋などでも問題になりますが、風俗営業においては特に警察の目も厳しく、摘発のきっかけになりやすいポイントです。
第51条違反が発覚した場合のリスク(刑事手続きと行政処分)
もし風営法第51条違反が発覚した場合、経営には取り返しのつかないダメージが生じます。リスクは大きく分けて「行政処分」と「刑事罰」の2つです。
刑事罰だけではない!重い「行政処分」
警察の摘発を受けた場合、罰金などの刑事罰とは別に、公安委員会から行政処分が下されます。
違反の内容に応じて「指示処分」や、数週間から最大6ヶ月間の「営業停止命令」が出されます。
さらに悪質と判断されれば、最も重い「許可取消処分」となる可能性もあります。一度許可が取り消されると、その後5年間は風俗営業の許可を再取得できない(欠格期間)ため、事実上の廃業に追い込まれます。
逮捕される可能性はあるのか?
「いきなり逮捕されるのか?」と不安に思う方も多いでしょう。
初犯で違反内容が軽微であり、警察の捜査に素直に協力している場合は、在宅事件(逮捕されずに捜査が進む)になることもあります。
しかし、「度重なる警察の指導を無視していた」「従業員に口裏合わせをさせるなど証拠隠滅の恐れがある」「逃亡の恐れがある」といった場合には、逮捕・勾留されるリスクが極めて高くなります。
警察の立ち入り(ガサ入れ)や指導を受けた際の対処法
万が一、店舗に警察の立ち入り検査が入り、風営法違反の指摘を受けてしまった場合は、以下の対応を心がけてください。
絶対にやってはいけないこと(虚偽申告・証拠隠滅)
警察に対して嘘をついたり、従業員名簿や売上帳簿を隠したり、従業員に虚偽の証言を強要することは絶対にやってはいけません。悪質性が高いと判断され、即座に逮捕される原因となります。
速やかに専門家(弁護士・行政書士)へ相談する
違反の疑いをかけられたら、一刻も早く風営法に強い弁護士や行政書士に相談してください。
- 弁護士:警察の取り調べに対するアドバイス、逮捕を防ぐための弁護活動、刑事罰を少しでも軽くするための交渉を行います。
- 行政書士:無承認の構造変更などがあった場合、行政処分の軽減に向けて、速やかに適法な状態へ戻すための手続き(変更届出や承認申請など)をサポートします。
風営法第51条に関するよくある質問(FAQ)
Q. 内装を少し変えただけでも違反になりますか?
A. 壁紙の張り替えや、簡単に動かせるイス・テーブルの交換などの「軽微な変更」であれば事後届出で済むケースが多いです。しかし、間仕切りの設置、個室の設置などは「構造設備の変更」にあたり、事前の承認申請が必要です。無断で行うと第51条違反となります。
Q. 従業員が年齢を偽っていた場合も店側の責任になりますか?
A. はい、基本的には店側の責任(過失)が問われます。年齢を偽られないよう、本籍地記載の住民票やマイナンバーカードなど、公的な身分証明書による厳格な年齢確認を行う義務があります。
Q. 罰金を払えばすぐに営業を再開できますか?
A. いいえ。刑事罰である罰金を支払っても、公安委員会からの「営業停止命令」などの行政処分は別途下される可能性があります。営業停止期間中は当然ながら営業を再開することはできません。
まとめ:風営法違反の不安は放置せず、専門家へご相談を
営法第51条は、無承認の構造設備変更や未成年への接待業務など、風俗営業の根幹に関わるルール違反に対する重い罰則規定です。「知らなかった」「他の店もやっているから」という言い訳は通用しません。
もし、「現在のお店の状態が違反していないか不安」「警察から指導を受けてしまった」という場合は、手遅れ(逮捕や許可取消)になる前に、すぐに風営法に詳しい行政書士へご相談ください。

