【風営法第25条】「指示処分」とは?営業停止との違いや違反事例、回避策を徹底解説

「警察の立ち入り検査で違反を指摘された」
「『指示処分にする』と言われたが、明日から営業できなくなるのか?」

店舗を運営する中で、警察からの指導や処分について不安を抱えている経営者・店長の方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、風営法第25条に基づく「指示処分」は、サッカーで例えるなら「レッドカードの手前のイエローカード」です。ただちに営業ができなくなるわけではありませんが、対応を誤れば取り返しのつかない重い処分へと発展する危険な状態です。

この記事では、風営法や行政手続きに精通した専門家の視点から、指示処分の法的な意味、営業停止処分との違い、よくある違反事例から具体的な対処法までをわかりやすく解説します。

風営法第25条で定められる「指示処分」とは?

指示処分の法的な意味

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第25条に定められている「指示」とは、公安委員会(実務上は管轄の警察署)が店舗に対して行う法的な改善命令のことです。

店舗の営業方法や設備が「法律に違反している」、または「違反するおそれがある」と判断された場合に、「速やかに改善しなさい」と公式に命じる行政処分にあたります。

指示処分を受ける対象となる業種

  • 風俗営業(1号〜3号営業など): キャバクラ、ホストクラブ、スナック、料亭など
  • 遊技場(4号・5号営業): パチンコ店、マージャン店、ゲームセンターなど
  • 特定遊興飲食店:ナイトクラブ、スポーツバーなど
  • 深夜酒類提供飲食店: 深夜0時以降に酒類を提供するバー、居酒屋など
  • 性風俗関連特殊営業: デリヘル、ソープランドなど

「指示処分」と他の行政処分の決定的な違い

警察からの指導や処分にはいくつか段階があります。「今の自分の店がどの段階にあるのか」を正確に把握することが重要です。

以下の表で、各処分の違いを確認しましょう。

処分の種類 法的強制力 営業の可否
行政指導(口頭注意) なし 可能
指示処分 あり 可能
営業停止処分 あり 不可
許可取消処分 あり 不可

「行政指導(口頭注意)」との違い

警察官が店舗の見回りに来た際、「ここ、直しておいてね」と口頭で言われるのは単なる「行政指導」です。これには法的な強制力やペナルティはありません。しかし、指示処分は「行政手続法」に基づく正式な処分であり、履歴として警察に残ります。

風営法第26条「営業停止処分」との違い

店舗経営者が最も恐れるのが「営業停止」でしょう。指示処分の段階では「店を開けて営業を続けること」自体は可能です。しかし、営業停止処分(第26条)を下されると、指定された期間(数週間〜数ヶ月)、完全に店を閉めなければなりません。

なぜ「指示処分」を受けるのか?よくある違反事例5選

実際にどのような違反で指示処分を受けることが多いのでしょうか。代表的な5つの事例を紹介します。

1. 客引き・キャッチ行為

路上での執拗な客引きや、スカウト行為は風営法で厳しく禁じられています。特に繁華街では警察の取り締まりが強化されており、従業員が路上で声をかけただけで指示処分の対象となるケースが多発しています。

2. 従業者名簿の不備・年齢確認義務違反

風俗営業では、従業員の氏名や年齢を記載した「従業者名簿」を店内に備え付ける義務があります。
「名簿に記載漏れがあった」「本籍地記載の住民票や身分証のコピーをもらっていなかった」「18歳未満を働かせていた」といった労務管理の甘さは、即座に処分の対象となります。

3. 営業時間違反(深夜営業など)

原則として、風俗営業は深夜0時(一部地域は午前1時)から午前6時までの営業が禁止されています。閉店時間を過ぎても客を帰さず営業を続けていた場合、立ち入り検査(ガサ入れ)の標的となります。

4. 料金の不当な表示・ぼったくり

メニュー表に記載のないサービス料を不当に請求したり、客に料金システムを誤認させるような表示をしたりする行為も指示処分の対象です。客からの警察への通報(クレーム)がきっかけで発覚することがほとんどです。

5. 構造設備の無断変更

営業許可を取得した際の図面から、警察に無断で店内のレイアウトを変更してはいけません。
「客席に高さ1メートル以上のパーテーションを置いた」「VIPルームを勝手に作った」「店内の照明を規定より暗くした(スライダックス等の設置)」などは、典型的な設備違反です。

指示処分を受けたらどうなる?その後の流れとペナルティ

万が一、指示処分を受けることになった場合、以下のような流れで手続きが進みます。

手順1
警察・公安委員会からの呼び出し
いきなり処分が下されるわけではありません。事前に警察署へ呼び出され、「なぜ違反をしたのか」「言い分はあるか」を聞かれる手続きがあります。
手順2
指示書の交付と「始末書・改善報告書」の提出
正式に処分が決定すると「指示書」が交付されます。同時に、警察から「今後どうやって再発を防ぐのか」を記載した始末書や改善報告書の提出を求められるのが一般的です。
【警告】指示を無視・違反を繰り返した場合のリスク
ここに最も危険なのは、指示処分を受けた後も「営業できているから大丈夫だろう」と甘く見て、違反状態を放置することです。
指示処分に従わなかった場合、次は容赦なく「営業停止処分」や「許可取消処分」が下されます。 指示処分は「警察があなたの店を厳しくマークし始めた」という強烈なサインだと認識してください。

指示処分を回避・予防するための店舗運営のポイント

指示処分、そしてその先の営業停止を防ぐためには、日々の店舗運営を見直すしかありません。

日常的なコンプライアンスチェックの徹底

  • 出勤している従業員の名簿と身分証のコピーは完全に一致しているか?
  • 客引き行為を外部に委託していないか?
  • 閉店時間は厳守されているか?
これらを店長任せにせず、経営者自らが定期的にチェックする仕組みを作りましょう。

従業員への風営法教育

トラブルの多くは、現場のキャストやボーイ、現場責任者の「法律の無知」から起こります。「何をしたら風営法違反になるのか」をマニュアル化し、定期的にミーティングで共有することが重要です。

警察の立ち入り検査時の正しい対応方法

営業時間中に突然、警察が立ち入り検査(ガサ入れ)に来ることがあります。この時、感情的に反発したり、バックヤードに何かを隠そうとしたりする行為は絶対にNGです。
真摯に協力し、指摘された部分は素直に認めて即座に改善する姿勢を見せることで、処分が「口頭指導」で済む可能性もゼロではありません。

まとめ:風営法のトラブルは放置厳禁!不安な場合は専門家へ相談を

風営法第25条に基づく「指示処分」は、営業こそ継続できるものの、店舗の存続に関わる重大な警告(イエローカード)です。

  • 指示処分は法的拘束力のある「改善命令」である
  • 無視したり繰り返したりすると「営業停止」「許可取消」に直結する
  • 日々の名簿管理、営業時間、設備変更の手続きを徹底することが最大の予防策
「警察から口頭で厳しく注意された」「事情聴取に呼ばれてしまった」「自店の今の状態が違法ではないかチェックしてほしい」という場合は、決して放置してはいけません。

対応を間違えて致命的な処分(営業停止)を受ける前に、風営法に強い行政書士や弁護士などの専門家へ早急にご相談されることを強くおすすめします。 専門家が間に入ることで、警察への適切な対応や改善報告書の作成をスムーズに行うことが可能です。