【完全網羅】風営法14条の「照度(明るさ)」基準とは?業種別のルクス数と測り方を徹底解説

「お店をオープンさせたいが、内装が暗すぎて風営法の許可が下りないかもしれない…」
「警察の立ち入り検査(実査)で、明るさ不足を指摘されたらどうしよう…」

キャバクラやスナック、バーなどを新しく開業するオーナー様にとって、店舗の「明るさ(照度)」は最も気を揉むポイントの一つです。せっかくこだわって作ったおしゃれな内装も、風営法の基準を満たしていなければ、最悪の場合オープン日が延期になってしまいます。

この記事では、風営法第14条で定められている「照度(ルクス)」の基準や、警察による正しい測り方、うっかり違反になりやすい「調光器(スライダックス)」の注意点まで徹底解説します。

風営法第14条における「照度の規制」とは?

そもそも、なぜ店舗の明るさが法律で厳しく決められているのでしょうか。

なぜ店舗の「明るさ」が法律で規制されているのか?

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の目的は、善良な風俗と清浄な風俗環境を保持することです。
店内が暗すぎると、客同士のトラブルや犯罪、または風紀を乱す行為(過度な密着など)が起きやすくなります。そのため、風営法第14条では「営業所の照度を、国の定める基準値以下にしてはならない」と厳しく規制しているのです。

対象となる主な店舗

照度規制の対象となるのは、主に以下の営業形態です。

  • 風俗営業(キャバクラ、ホストクラブ、スナック、麻雀店、パチンコ店、ゲームセンターなど)
  • 深夜酒類提供飲食店営業(深夜0時以降も営業するバーやガールズバーなど)
  • 特定遊興飲食店営業(クラブ、ライブハウスなど)

【業種別】風営法で定められた照度(ルクス)の基準一覧

店舗の業種によって、求められる明るさ(ルクス=lux)の基準は異なります。業種ごとの基準値をまとめました。

業種・営業形態 必要な照度(明るさ) 具体的な店舗例
風俗営業(1号) 5ルクス超 キャバクラ、ホストクラブ、スナック、料亭など
風俗営業(2号) 5ルクス超(※例外あり) 暗いバー、カップル喫茶など
風俗営業(3号) 10ルクス超 個室居酒屋、インターネットカフェ(一部)、カップル喫茶など
風俗営業(4・5号) 10ルクス超 パチンコ店、麻雀店、ポーカーバー、ゲームセンター、アミューズメント施設など
特定遊興飲食店営業 10ルクス超(※例外あり) ナイトクラブ、DJバー、ライブハウス
深夜酒類提供飲食店営業 20ルクス超 バー、ダーツバー、ガールズバー(※深夜営業)

「10ルクス」はどのくらいの明るさ?

キャバクラや深夜営業のバーで求められる「10ルクス超」とは、具体的に以下のような明るさです。

  • 上映前の映画館の中
  • ろうそく1本の火から約30cm離れた場所
  • 文字を読むには暗いが、人の顔の表情ははっきり判別できる程度
「意外と暗くても大丈夫」と思うかもしれませんが、後述する「測り方」の罠があるため、ギリギリを攻めるのは非常に危険です。

警察の立ち入り検査で引っかからない!「正しい測り方」と注意点

警察の立ち入り検査(実査)では、実際に警察官が「照度計」を持ち込んで店内の明るさを測ります。ここで不合格になると許可が下りません。

照度計を使った測定位置(どこで測るか?)

照度を測る位置は、「光源(電球)のすぐ下」ではありません。風営法に基づく客観的な測定方法は以下の通りです。

  1. 客席(テーブル)がある場合:テーブルの表面の高さ
  2. 客席(イス)のみの場合:座面の高さ
  3. イスもテーブルもない場合:床面の高さ

影になる場所・店内の一番暗い場所に注意!

最も注意すべきなのは、「店内のどこを測っても基準のルクスを超えていなければならない」という点です。
警察は「店内の一番暗そうな場所(暗所)」を狙って照度計を置きます。テーブルの上が15ルクスあっても、部屋の隅が8ルクスしかなければ「照度不足で不合格」となります。

【要注意】調光器(スライダックス)の設置は原則NG!

照度の検査において、最も多い失敗が「調光器(スライダックス)」の設置です。つまみを回して明るさを無段階に調整できるスイッチは、原則として風営法では違法(使用不可)となります。

うっかり設置してしまった場合の対処法

  • ON/OFFだけの単純なスイッチ(片切スイッチ)に取り替える
  • 調光器のつまみを「10ルクス以上」になる位置で固定し、アクリルカバー等を被せてネジ止めする(※管轄の警察署によって許可されない場合もあるため非推奨)
最も確実なのは、電気工事士に依頼してスイッチ自体を交換してしまうことです。

照度不足(違反)とみなされた場合の罰則・行政処分

もし照度が足りなかった場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。

オープン前の検査(実査)で落ちた場合

新規許可申請の検査で照度不足を指摘されると、その日は「不合格」となり、許可が下りません。
照明を追加する工事をしてから再検査となるため、予定していたオープン日に間に合わず、キャストの人件費や空家賃だけが発生し続けるという大損害に繋がります。

営業中の立ち入り検査で発覚した場合

すでに営業している店舗に警察の立ち入りがあり、基準未満であることが発覚した場合は、風営法違反となります。
悪質な場合や改善されない場合は、「指示処分」や「営業停止処分」といった重い行政処分が下される可能性があります。

店舗のオープンに向けて準備すべき対策チェックリスト

失敗を防ぐため、お店の設計段階から以下のことを徹底しましょう。

内装業者へ「風営法基準」を明確に伝える

内装業者やデザイナーの中には、風営法に詳しくない方もいます。「雰囲気重視で暗く作ってしまい、後からダサい照明を無理やり追加することになった…」という失敗を防ぐため、設計前に「〇ルクス以上確保すること」「調光器はつけないこと」を絶対条件として伝えましょう。

事前のルクスチェックを行う

工事完了後、専門の行政書士に依頼して、お店の隅々(特に影になる場所)を計測してもらいましょう。

風俗営業に強い行政書士に相談する

お店の図面作成や許可申請は、風営法専門の行政書士に依頼するのが最も安全で確実です。図面段階から「この照明配置だと検査で落ちる可能性がある」といったアドバイスをもらえます。

まとめ

風営法14条の照度規制は、決して甘く見てはいけない重要なルールです。

  • 営業の種類によって「〇ルクス超」という基準がある
  • 「店内の一番暗い場所」で基準を満たす必要がある
  • 明るさを自由に変えられる「調光器」は原則NG
照明はお店の雰囲気を決定づける重要な要素ですが、法律を守らなければ営業そのものができません。オープン前のトラブルを防ぐためにも、基準を正しく理解し、プロの専門家や施工業者としっかり連携を取りながら準備を進めましょう。