「過去に罰金を払ったことがあるけれど、キャバクラやバーを開業するための風営法許可は取れるのだろうか?」
「執行猶予中の場合はどう扱われるの?」
過去の過ちから立ち直り、新たなビジネスに挑戦しようとする際、このような不安を抱える方は決して少なくありません。
結論から申し上げますと、「1年以上の拘禁刑(懲役・禁錮など)」または「特定の犯罪による罰金刑以上」を受けた場合、刑の執行が終わってから5年間は風営法の許可を取得することができません。
この記事では、難解な法律用語を分かりやすく噛み砕き、どのようなケースで許可が下りなくなるのか、そして「5年」の正確な数え方について徹底解説します。ご自身の状況と照らし合わせて、ぜひ参考にしてください。
風営法の「欠格事由」とは?前科があると許可は取れない?
キャバクラ、ホストクラブ、麻雀店、パチンコ店などの風俗営業を始めるには、公安委員会(警察)から「風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)」に基づく許可を得る必要があります。
この風営法には、「この条件に当てはまる人には絶対に許可を出さない」というルールが定められており、これを「欠格事由(けっかくじゆう)」と呼びます。
欠格事由には「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」など様々な項目がありますが、その中で最も注意が必要なのが「過去の犯罪歴(前科)」に関する項目です。ただし、「前科があれば絶対に一生許可が取れない」というわけではなく、一定の期間が経過すれば再び許可を取るチャンスが巡ってきます。
要注意!許可が下りなくなる2つの犯罪パターン
過去の犯罪歴で風営法の許可が下りなくなるケースは、大きく以下の2つのパターンに分けられます。
① どんな犯罪でも「1年以上の拘禁刑(懲役・禁錮など)」を受けた場合
犯罪の種類は一切問いません。窃盗、傷害、詐欺など、いかなる犯罪であっても、「1年以上の実刑判決」を受けた場合は、欠格事由に該当します。
※刑法改正により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」という名称に一本化されています。
② 「特定の犯罪」で「1年未満の拘禁刑」または「罰金刑」を受けた場合
たとえ1年未満の短い刑期や、刑務所に入らない「罰金刑」であっても、風営法が厳しく取り締まっている「特定の犯罪」を犯してしまった場合はアウトになります。
「軽い罰金で済んだから大丈夫だろう」と自己判断するのは非常に危険です。
罰金刑でもアウトになる「特定の犯罪」とは?
条文には多くの法律名が並んでいますが、一般の方には非常に読みづらいため、大きく3つのカテゴリに分けて整理しました。
以下の表にある犯罪で「罰金刑」以上の処罰を受けた場合、風営法の許可は下りません。
| カテゴリ | 該当する主な法律・犯罪 |
| 性犯罪・売春・児童ポルノ等 |
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| 労働・雇用・外国人法務等 |
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| 組織犯罪・風営法違反等 |
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「5年間を経過しない者」の正確な数え方
欠格事由に該当してしまった場合、「その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年」が経過するまでは許可を取得できません。
この「5年」はいつから数え始めるのでしょうか。
刑務所に入っていた場合(実刑)
刑務所に服役していた場合は、「刑期を満了して出所した日」から数えて丸5年が必要です。
仮釈放で出所した場合は、出所した日ではなく「仮釈放期間が終了した日(本来の刑期満了日)」から5年を計算します。
罰金刑の場合
罰金刑の場合は、「罰金を全額納付し終わった日」から数えて丸5年が必要です。判決が出た日からではない点に注意してください。
【重要】執行猶予がついた場合はどうなる?
ここが最も誤解されやすいポイントですが、執行猶予がついた場合は「5年」のカウント方法が異なります。
執行猶予とは「刑の執行を一定期間猶予する」制度です。もし執行猶予期間中、新たに罪を犯すことなく無事に期間が満了すれば、その翌日から「刑の言渡し自体が効力を失う」ことになります。
つまり、執行猶予期間が明けた時点で「欠格事由」から外れるため、そこからさらに5年間待つ必要はありません。
よくある質問(FAQ)
Q. スピード違反など、交通違反の罰金(青切符・赤切符)でも風営法の許可は取れなくなりますか?
A. 交通違反による罰金刑(道路交通法違反)は、先述した「特定の犯罪」のリストには含まれていません。したがって、罰金刑だけであれば風営法許可の障害にはなりません。(※ただし、死亡事故などで1年以上の拘禁刑(実刑)を受けた場合は、当然欠格事由に該当します)
Q. 過去の犯罪歴は警察にバレますか?隠して申請したらどうなりますか?
A. 確実にバレます。風営法の許可権者は各都道府県の「公安委員会(警察)」です。審査の過程で厳格な犯歴照会が行われるため、前科を隠し通すことは不可能です。
もし虚偽の申告をして申請した場合、許可が下りないだけでなく、虚偽申告として別の罪に問われたり、警察からの心証を著しく悪化させたりするリスクがあるため、絶対にやめましょう。
まとめ:不安な場合は専門家に相談を
風営法における「過去の犯罪歴」と「5年ルール」について解説しました。ポイントは以下の通りです。
- 1年以上の拘禁刑(実刑)は、犯罪の種類を問わず5年間アウト
- 性犯罪、入管法違反、労働基準法違反などは、罰金刑でも5年間アウト
- 起算日は「刑期満了日」または「罰金納付日」から5年
- 執行猶予が満了すれば、その時点から許可申請が可能になる