「自分の店が風営法違反になっているかもしれない」「警察の立ち入りがあり、今後どうなるのか不安だ」
このような状況に直面し、慌てて風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)について調べている方も多いのではないでしょうか。
風営法には様々なルールがありますが、その中でも「第49条」は極めて重い罰則を定めている条文です。知らなかったでは済まされず、最悪の場合は逮捕や長期間の営業停止につながる恐れがあります。
本記事では、風営法第49条で何が違反になるのか、具体的な罰則の内容、そして万が一警察沙汰になってしまった場合の正しい対処法について、分かりやすく徹底解説します。
風営法第49条とは?対象となる6つの重大な違反行為
一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだとき。
二 偽りその他不正の手段により第三条第一項の許可又は第七条第一項、第七条の二第一項若しくは第七条の三第一項の承認を受けたとき。
三 第十一条の規定に違反したとき。
四 第二十六条、第三十条、第三十一条の五第一項若しくは第二項又は第三十一条の六第二項第二号若しくは第三号の規定による公安委員会の処分に違反したとき。
五 第二十八条第一項(第三十一条の三第二項の規定により適用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
六 第二十八条第二項(第三十一条の三第二項の規定により適用する場合を含む。)の規定に基づく都道府県の条例の規定に違反したとき。
1. 無許可営業
キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバーなどで、従業員が客の隣に座って談笑したり、お酒を作ったりする行為は法律上の「接待」にあたります。
この「接待」を伴う営業を行うには、事前に公安委員会(警察)から風俗営業の許可を得なければなりません。許可を取らずに見切り発車で営業を開始したり、深夜酒類提供飲食店(いわゆる深夜営業のバー)の届け出しか出していないのに接待を行ったりした場合は、「無許可営業」として第49条の対象になります。
2. 不正な手段による営業許可の取得・変更
許可を得るために嘘の申請をした場合も対象です。例えば、以下のようなケースが該当します。
- 店舗の図面を実際とは異なる構造で偽造して提出した
- 経営者の過去の犯罪歴など、許可が下りない理由(欠格事由)を隠して申請した
3. 名義貸しの禁止
風営法の許可を持っている人の「名義だけ」を借りて、実質的には許可を持っていない別の人間が営業を仕切る行為(ダミー経営)です。
「自分は過去に捕まって許可が取れないから、知人の名前で許可を取ろう」といった行為は名義貸しとなり、貸した側も借りた側も厳しく処罰されます。
4.その他の違反
- 営業停止命令(営業廃止命令)違反
- 営業禁止区域違反
- 営業禁止地域違反
風営法第49条に違反した場合の重い罰則・リスク
第49条に違反した場合、単なる注意書きや罰金だけで終わらない致命的なリスクがあります。
刑事罰(拘禁刑・罰金・併科)
風営法第49条では、以下の刑事罰が定められています。
行政処分(許可取消し)
事罰とは別に、公安委員会から行政処分が下されます。すでに何らかの許可を持っていたとしても、違反が発覚すれば最も重い「許可の取消し処分」を受けることになります。
致命的な「欠格事由」への該当(今後5年間営業不可に)
風営法第49条違反で罰金以上の刑を受けたり、許可を取り消されたりした場合、その後5年間は新たな風俗営業の許可を取得することができなくなります(欠格事由)。 実質的に、水商売やナイトレジャー業界での経営から長期間追放されることを意味します。
【よくある疑問】「客」として利用していただけでも風営法第49条で逮捕される?
「無許可営業の店だと知らずに飲んでいた場合、客である自分も捕まるのでは?」と不安に思う方もいるでしょう。
原則として「客」は風営法の処罰対象外
結論から言うと、風営法はあくまで「店側(営業者)」を取り締まるための法律です。そのため、客として店内で飲食を楽しんでいただけであれば、風営法違反で逮捕・処罰されることは原則としてありません。
【注意】別の法律で処罰されるリスクはある
ただし、店内で別の違法行為に加担していた場合は話が別です。
- 相手が18歳未満であることを知っていて性的なサービスを受けた(児童買春・ポルノ禁止法違反)
- 店内で違法薬物を使用した、暴力行為を行った
このようなケースでは、客であっても当然別の法律によって逮捕されるリスクがあります。
風営法第49条違反(無許可営業・名義貸し)が警察にバレるきっかけ
「黙っていればバレないだろう」と考えるのは非常に危険です。警察は以下のような様々なルートから違反の事実を把握しています。
近隣住民や通行人・客からの通報
- 「深夜に店の外で大声で騒いでいる客がいる」
- 「強引な客引き(キャッチ)をされて怖い思いをした」
- 「高額な料金を不当に請求された(ぼったくり)」
従業員(キャスト・ボーイ)からのタレコミ
給料の未払いや、劣悪な労働環境に対する不満から、働いている従業員(キャストや黒服)自身が警察に「うちの店は無許可で接待をしている」とタレコミを行うケースも多発しています。
警察の立ち入り調査(ガサ入れ)と内偵捜査
管轄の警察署(生活安全課)は、定期的に歓楽街の見回りを行っています。また、疑わしい店舗に対しては、警察官が一般客を装って入店する「内偵捜査」が行われ、決定的な証拠を押さえられた上で一斉摘発(ガサ入れ)が行われます。
摘発の恐れがある・警察の捜査が入ってしまった場合の対処法
現在、無許可営業や名義貸しを行ってしまっている、あるいはすでに警察の立ち入り調査が入ってしまった場合、放置することは最も危険です。
一刻も早く「風営法・刑事事件に強い弁護士」へ相談する
警察の捜査が始まっている場合、逮捕を回避し、少しでも処分(罰金や営業停止期間など)を軽くするためには、初動の弁護士対応が極めて重要です。
警察での取り調べにどう応じるべきか、今後の見通しはどうなるのか、刑事事件と風営法の実務に精通した弁護士に直ちに相談し、弁護活動を依頼してください。
これから許可を取り直したい場合は「行政書士」へ
まだ警察が介入しておらず、「今の違法な状態を解消し、正しく許可を取り直して堂々と営業したい」と考えている場合は、風営法の許可申請を専門とする行政書士に相談しましょう。現在の店舗構造や設備で許可が取れるのかを含め、合法化への最短ルートをアドバイスしてもらえます。
まとめ
風営法第49条が定める「無許可営業」や「名義貸し」は、決して軽い罪ではありません。
「5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金」という重い刑事罰に加え、その後5年間は同業でのビジネスができなくなるという、経営者にとって致命的なリスクを伴います。
「他の店もやっているから」「バレないだろう」という甘い認識は捨て、少しでも自社の営業形態に不安がある場合や、すでに警察沙汰になってしまった場合は、一人で抱え込まずに今すぐ弁護士などの専門家に相談してください。

