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【行政書士監修】風営法37条「報告及び立入り」とは?警察の立ち入り検査でチェックされる項目と罰則・対策を徹底解説

「ある日突然、警察が店に立ち入り検査(ガサ入れ)に来たらどうしよう…」 「風営法37条という言葉を聞いたが、具体的に何をされるのかわからず不安」
キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバー、麻雀店やポーカーバーなどの風俗営業や、深夜酒類提供飲食店を経営している方にとって、警察の立ち入り検査は大きな不安要素の一つです。もし書類の不備や違反が見つかれば、最悪の場合は営業停止や許可取り消しといった重い処分を下される可能性があります。
この記事では、風営法第37条に定められた「報告」と「立入り」の法的な意味や、警察が検査に来る理由、チェックされる重点項目、そして日頃からやっておくべき対策についてわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、抜き打ちの検査にも堂々と対応できる店舗づくりを目指しましょう。

風営法第37条における「報告」と「立入り」とは?法的根拠を解説

警察の立ち入り検査は、なんとなく行われているわけではなく、明確な法律に基づいています。その根拠となるのが風営法第37条(報告及び立入り)です。

(報告及び立入り)
第三十七条
公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者、性風俗関連特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者、第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者、深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者又は接客業務受託営業を営む者に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第七号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
一 風俗営業の営業所
二 店舗型性風俗特殊営業の営業所
三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所
四 店舗型電話異性紹介営業の営業所
五 特定遊興飲食店営業の営業所
六 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所
七 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)
3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(出典:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」

風営法第37条の条文概要

風営法第37条では、公安委員会(実際の運用は警察官)に対し、風俗営業者等に対して「業務に関する報告を求める権限」と、「店舗に立ち入って検査をする権限」を認めています。 つまり、許可を出している行政側が、店舗が法律を守って適正に営業しているかを確認するための強力な権限です。

「報告」とは何か

「報告」とは、警察が店舗側に対して、立入検査をするまでの必要性がないような場合に、業務内容に関する書類の提出や説明を求めることを指します。具体的には、売上に関する帳簿、従業員の給与明細、雇用形態などを確認されるケースがあります。

「立入検査」とは何か(令状なしで可能な理由)

「警察が店に入るには裁判所の令状が必要なのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、風営法37条に基づく立ち入り検査は「令状なし」で行うことが可能です。
なぜなら、これは犯罪を捜査する「強制捜査」ではなく、ルールが守られているかを確認する「行政警察活動」だからです。営業中の時間帯(または営業時間前後)に、事前予告なしの抜き打ちで行われるのが一般的です。

警察が店舗へ立ち入り検査に来る3つの主な理由

警察は毎日すべての店舗を回っているわけではありません。警察が立ち入り検査にやってくる主な理由は、以下の3パターンに分けられます。

① 定期的な見回り・一斉取り締まり

年末年始や歓送迎会シーズン、お盆休み前など、繁華街に人が増える時期に合わせて、管轄の警察署が一斉に立ち入り検査を行うことがあります。この場合は、何か特定の疑いがあるわけではなく、順番に店舗を回って指導・確認を行っています。

② 近隣住民や客からのクレーム・通報

警察が動く大きなきっかけとなるのが「通報」です。 「客引き(キャッチ)がしつこい」「深夜まで騒音がひどい」「法外な料金を請求された(ぼったくり)」といったクレームが警察に入ると、実態を調査するために店舗へやってきます。

③ 無許可営業や違反行為の疑いがある場合

「18歳未満を働かせている」「深夜0時を過ぎて接待営業をしている(時間外営業)」といった具体的な情報提供(タレコミ)があった場合、警察は違反を摘発する目的で立ち入りを行います。競合他店や、辞めた従業員からの密告が発端となるケースも少なくありません。

立ち入り検査(ガサ入れ)で警察が重点的にチェックする項目

いざ警察が店舗に入ってきた際、彼らは主にどこを見ているのでしょうか。立ち入り検査で必ずと言っていいほどチェックされる重点項目を4つ紹介します。

従業者名簿の備え付けと記載内容の不備

風営法の立ち入り検査で最も指導・摘発を受けやすいのが「従業者名簿」です。
従業員(キャストだけでなく、ボーイやキッチンスタッフも含む)の氏名、生年月日、採用年月日などが正確に記載されているか確認されます。 また、名簿だけでなく「本籍地が記載された住民票」や「身分証明書のコピー」がセットでファイリングされているかが厳しくチェックされます。

料金表の掲示と客引き・料金トラブルの有無

客室やエントランスに、客がわかりやすいよう料金表が適正に掲示されているかを確認されます。また、店外での客引き行為の状況や、料金に関する苦情処理簿が適切に作成・保存されているかもチェック対象です。

18歳未満の立ち入り・雇用(年齢確認の徹底)

18歳未満の客を立ち入らせたり、キャストとして雇用したりすることは風営法で厳しく禁止されています。年齢確認をどのように行っているか、身分証の偽造を見抜く体制ができているかなど、採用時のプロセスも問われます。

構造設備の変更(無承認変更・届出漏れ)

営業許可を取得した際の図面と、現在の店内のレイアウトが一致しているかを確認されます。

  • 「勝手にVIPルームを作っていないか」
  • 「見通しを妨げるような高さ1メートル以上の仕切り(観葉植物など)を置いていないか」
  • 「照明の明るさ(照度)は基準を満たしているか」
これらをメジャーや照度計を使って実測されることもあります。

立入検査を拒否・虚偽報告した場合の罰則(風営法違反)

「令状がないなら、立ち入り検査を拒否できるのでは?」と考えるのは大変危険です。

罰則内容(罰金や懲役)について

風営法第37条に基づく立ち入り検査は、強制捜査ではないものの、正当な理由なく拒否・妨害したり、嘘の報告をしたりした場合は罰則の対象となります(風営法第54条)。 具体的には「100万円以下の罰金」が科される可能性があり、決して軽視できるものではありません。

重大な行政処分のリスク(営業停止・許可取り消し)

立ち入り検査を拒んだり、重大な違反(名簿の未作成、構造設備の無断変更など)が見つかったりした場合、数週間の「指示処分」や数ヶ月の「営業停止処分」、最悪の場合は「許可取り消し」となり、事実上の廃業に追い込まれるリスクがあります。

立ち入り検査が来たときの正しい対応と、日頃の事前準備

もし警察がお店にやってきたら、どのように対応すべきでしょうか。正しい対応と日々の準備について解説します。

検査時のNG行動(慌てる、隠す、反抗する)

警察官に対して、感情的に反抗したり、立ち入りを物理的にブロックしたりするのは絶対にNGです。また、書類の不備を隠そうとして奥に持ち去るなどの不審な行動をとると、逆に疑いを深め、厳しく追及されることになります。冷静に、協力的な態度で応じることが鉄則です。

日常業務で徹底すべき書類管理(帳簿・名簿)

立ち入り検査はいつ来るかわかりません。「明日やろう」は通用しないため、以下の書類は常に最新の状態で提示できるようにしておきましょう。

  • 従業者名簿(住民票・身分証コピーとのセット照合)
  • 苦情処理簿
  • 営業許可証の掲示(見やすい場所に提示されているか)
注意
特に従業者名簿は、キャストが体験入店(体入)したその日のうちに作成し、住民票等を確認するフローを徹底してください。

従業員への教育と対応マニュアルの共有

警察が来たときに、オーナーや店長が不在であることも考えられます。 現場のスタッフが「責任者がいないのでわかりません」と答えてしまうと、書類が提示できず違反とみなされる恐れがあります。「警察が来たら誰が対応し、どのファイル(従業者名簿など)を提示するのか」というマニュアルを全従業員で共有しておくことが重要です。

まとめ:風営法37条の立ち入り検査は「日々の適法営業」が最大の対策

風営法37条に基づく警察の報告徴収・立ち入り検査は、風俗営業や深夜酒類提供飲食店を営む以上、避けては通れないものです。
令状なしで行われる抜き打ち検査であるため、不安を感じる方も多いでしょう。しかし、「従業者名簿の徹底管理」「料金の明示」「図面通りの構造維持」といった基本的なルールを日々守っていれば、何も恐れることはありません。
「今の店のレイアウトが違反していないか不安」「従業者名簿の書き方が合っているか自信がない」という場合は、放置せずに、風営法に詳しい行政書士や弁護士などの専門家に早めに相談・診断を依頼することをおすすめします。日々の適法営業こそが、店舗と従業員を守る最大の防具となります。